関内のランドマークといえば、市庁舎と横浜スタジアム。現在、スタジアムが建つところは、居留地に住む外国人のためにつくられた日本初のクリケット・グランドのあった公園であり、西洋式公園の発祥地と言われています。 このクリケット・グランドはそののち野球場となり、1896(明治29)年には国内最初の国際野球試合が行われています。また1909(明治42)年、「横浜公園」と改称され、市民の憩いやレクリエーションの場として親しまれてきました。 しかし、関東大震災によって被災。震災復興事業として1929(昭和4)年に「横浜公園球場」が施工され、本格的な野球場に生まれ変わりました。この横浜公園球場は、ベーブ・ルースやルー・ゲーリックといった今も知られる大リーグのスターたちもプレーしたという歴史を持っています。
こうした由緒ある野球場も老朽化には勝てず、1978(昭和53)年、野球だけでなく、他の球技やコンサートにも使用できる多目的スタジアムに建て替えられました。かくして「横浜スタジアム」が誕生し、現在でも横浜におけるスポーツやレクリエーションの中心的な施設として多くの市民に利用されています。 その横浜スタジアムからJR根岸線をくぐり、線路と併走する大通りを渡ったところに、おしゃれなオープン・カフェのあるビルがあります。この店の奥が、今回ご紹介するスペイン料理店「イザベラ」です。
◆イザベラは、大手不動産会社「アットホーム」の代表取締役である松村文衛さんがオーナー。松村さんがまだサラリーマンだった頃、仕事で訪れたアメリカのニュージャージー州にあるスペイン街・ホボケンで食べたスペイン料理の味が忘れられず、この場所にビルを建設した際にイザベラを開店したそうです。1969(昭和44)年のことでした。
◆イザベラの入っているビルは、通りに面した側が「アルフォンソ」という店名の開放的なスペイン・バール(スペイン風居酒屋)になっています。このアルフォンソは、実はイザベラの姉妹店。居酒屋、喫茶店、軽食屋を兼ねており、一人でフラッと気軽に立ち寄れるようなお店です。 イザベラは、そのアルフォンソの横の通路を入っていった奥にあり、こちらは少し気取った隠れ家のような店構え。しかし、店内に入ると、家庭的で暖かな雰囲気に包まれています。「太陽の国・スペイン」を彷彿とさせ、控えめな照明でありながら陰気な感じはまったくありません。 また、店内には数々のスペインの調度品や、スペインで使われている道具や雑貨が飾られており、異国情緒を醸し出しています。これらはオーナーの松村さんが自らマドリードへおもむき、買い集めたものであるそうです。 さらに、耳に入ってくるBGMも情熱的なスペインの旋律。ここが横浜であることを、ふと忘れてしまいます。
◆もちろん、店の雰囲気に負けず、料理のほうも本格的。開店以来、基本路線がぶれないように心がけ、ほぼ変わらないメニューを提供し続けています。そして、スペイン料理本来の「家庭的な味」をしっかりと守った料理の数々は、いずれも素材の持つ力を活かしきり、素朴でありながらも贅沢な味わいです。 なお、イザベラはワインにもこだわっています。スペイン産のものを中心に、入手が難しいものも含めて多種類のワインを常時ストックしています。
◆このようにスペイン一色の店内ですが、さらに気分を盛り上げるお楽しみイベントがあります。今回、私たちが伺ったのは木曜日であったため見られませんでしたが、毎月第3金曜日にはフラメンコ・ディナーショー(要予約)が行われています。華やかで情熱的なフラメンコを見ながら、珠玉の料理に舌鼓を打つ。スペイン好きにはたまらない至福の一夜を、ぜひ一度ご経験ください。 暖かく、なごやかな空気の流れる店内。家庭的で優しい味の料理。心も身体もホッと落ち着くイザベラは、初めて来てもたちまちファンになってしまう魔力を持ったお店です。そうであるからこそ、40年近くもの間、多くの人びとから愛され続けてきたのでしょう。
「イザベラ」マネージャー須永 英紀 さんへの インタビュー内容はこちら