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横浜の食案内
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jack's
- 取材日:2004年8月5日 -


おしゃれな飲食店や物販店が立ち並ぶ本牧通りを根岸に向かって進んでいくと、左側にちょっとレトロな雰囲気を漂わせる白い建物があります。通りに面した壁には、古き良き時代をほうふつとさせる「jack's」のロゴ。素朴で、どこか懐かしさのある店構え、暖かみが伝わる入口の看板は、通りすがりでもふと立ち寄りたくなる衝動を駆り立てます。
白を基調とした清潔感ある建物と見事に調和したナチュラルな木製の扉。その扉越しに垣間見える落ち着いた店内。成熟した大人の“濱通”であれば、きっとこの扉を前にして心が躍ることでしょう。

ジャックスは、もともとは中華街にお店を構えており、米兵や外国船の乗務員をはじめ、日本の著名人たちにも愛されていました。そうしたジャックス・ファンの中には、東京都知事の石原慎太郎さんや、誰もが知る往年の大スター・石原裕次郎さんもいます。
ところが、ビル建設による立ち退きのため、多くのファンに惜しまれながら閉店。しかし、存続を求める熱心なファンの声に応えて、1990年に現在の場所で再び営業をはじめました。
中華街での開店から、すでに50年弱。その間、さまざまな国の、多くの人びとの舌を唸らせてきたジャックスのステーキ。開店当時、ステーキは日本人にとって「夢のまた夢。とても口にできるものではなかった」ということです。しかし、時代は変って、今や美食・飽食の時代。ちまたには、凝りに凝った料理を競いあう店が溢れています。そんな中でもジャックスは、最上の牛肉と、ささやかな隠し味で肉本来の旨みを最大限に引き出すご主人の腕だけで、いまも勝負しています。
半世紀もの間、味付けやメニューをいっさい変えることなく、ひたすらステーキ本来の美味しさを追求してきた横浜が誇るべき名店、“元祖炭火焼ステ−キ”の「ジャックス」を、今回はご紹介します。

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DATA
住所  :  〒231−0825 横浜市中区本牧
間門43−14
電話 :  045−621−4379
営業時間  :  17:00〜23:00
(ラストオーダーは22:30)
定休日  :  毎週月曜日
(祝祭日の場合は営業。翌・火曜日休業)
交通案内
◇バスでお越しの場合
・横浜駅東口より
 横浜市営バス58、127系統・間門下車、徒歩2分
・JR根岸線・桜木町駅より
 横浜市営バス58、99、101系統など・間門下車
 徒歩2分
・JR根岸線・根岸駅より
 横浜市営バス58、99、101系統など・間門下車
 徒歩2分
◇お車でお越しの場合
・首都高速横羽線・新山下出口より、根岸・磯子
 方面へ10分
・首都高速湾岸線・ベイブリッジ経由本牧埠頭出口
 より、根岸・磯子方面へ3分
駐車場  :  あり

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お店のポイント
初めて訪れても何故か懐かしさを感じる店内は、テーブルや椅子がゆったりと配置されており、ご主人のこだわりのステーキを心ゆくまで楽しむことができます。また、変に気取った雰囲気はなく、レトロ調の優しい照明に包まれながら、大人たちがスーツを脱いで思い切り羽根を伸ばせる空間となっています。
静かにくつろぐのもよし、気のおけない仲間たちと会話を弾ませながら食事を楽しむのもまたよし――そんなお店です。
キッチンはオープン・スタイルであり、完成された動きでステーキを焼くご主人がよく見えます。決して派手なパフォーマンスはありませんが、一枚一枚、心を込めてステーキを焼き上げるご主人の姿を見ていると、そのひたむきさ、誠実さに深く感動させられます。
そんなご主人の仕事ぶりは、キッチンから広がってくる香ばしい香りとともに、「早く食べてみたい」という気持ちを駆り立てる最高のパフォーマンスです。

そして、何よりも驚かされるのは、鏡のようにピカピカに磨き上げられた厨房です。1990年に移転してから10年以上、毎日、毎日、ステーキが焼き続けられてきた厨房とはとても思えません。
「まだまだ頑張る」という、ご主人の意気込みがストレートに伝わってきます。

ジャックスでの食事を楽しくしてくれる重要な脇役たちが、店内に飾られた色とりどりの花々や、素敵な絵画の数々です。これらは、ご主人と二人三脚でこの店を支えてきた奥様のコーディネートによるものだそうです。
おしゃれで、多趣味でいらっしゃる奥様は、四季折々の花を使ったご自身の手によるフラワー・アレンジメントで店に訪れる人びとの目を楽しませてくれます。お店にお邪魔したのは8月でしたが、夏は生花が長持ちしないということで、ドライフラワーを用いた「作品」で私たちを迎えてくださいました。
また、奥様は絵画にも造詣が深く、壁に飾られた絵の数々は、ご自分のコレクションであるということです。どの絵も温かみと安らぎが伝わるもので、奥様の人柄が表れています。
ご主人が焼き上げる豪快でボリュ−ムのあるステーキと、奥様のコーディネートによる美しく繊細な花々と絵画。その不思議で、しかし絶妙なコントラストが、ジャックスのもう一つの魅力です。
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奥様のアレンジによる
ドライフラワー
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店内を「心豊かに過ごせる空間」へと
演出する絵画

ジャックス店主 小倉昭二さんへのインタビュー内容はこちら

横浜・食の極人〜横浜の味を創る究極の達人たち〜


本日のメニュー
今回は、横濱まちづくり倶楽部の会員11名でお邪魔をし、7000円のコース(消費税別)をいただきました。
なお、このコースでは、サーロイン(300g)かヒレ(250g)かを選ぶことができます。また、焼き加減も、ご主人が好みに応じて対応してくれます。
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芝海老のカクテル
カクテルグラスに奇麗に盛られた芝海老とレタス。さらに、レモンの黄色とトマトケチャップの鮮やかな赤。華やかな彩りで、見ているだけで楽しい一品です。
プリッとした海老の歯応えとレタスのシャキシャキ感。そして、それらの素材の味わい、レモンの新鮮な酸味、甘酸っぱいケチャップは、見た目だけでなく、口の中でも絶妙なハーモニーを奏でます。また、クラッカーを砕き、振りかけていただくと、サクサクした食感が加わってさらに美味しくなります。


グリーンサラダ
新鮮なレタスとトマトの上には、ご主人特製のドレッシング。何故だか郷愁を誘う、心暖まるようなドレッシングです。
さて、美味しいサラダを頬張っていると、キッチンにいるご主人の動きが慌ただしくなってきます。そして、香ばしい香りと肉の焼ける音が、私たちの席にまで届いてきます。
ワクワクと胸を躍らせながらいただく、まさにメイン・ディッシュへの「序曲」となるサラダです。

さあ、いよいよ本日の主役の登場です
photo「ステーキを焼くときが一番楽しい」と、ご主人はいいます。半世紀近くにわたってステーキを焼き続けてきたその技はまったく衰えを知らず、私たちがオーダーした11人分のステーキを、完璧な動きで次々と焼き上げていきます。その姿を拝見していると、「これぞプロフェッショナル!」と、心からの拍手を送りたくなります。

「ブランド物の牛肉は敢えて使いません。自分の目で確かめ、自分の腕を頼りによい牛肉を仕入れ、それをリーズナブルな価格でお客様に提供してきました」と語るご主人。自信に満ちた力強い言葉です。
その言葉どおり、牛肉へのこだわりはひとしおです。アメリカン・ビーフを使えば経営的には楽であるそうですが、それでは納得のいくステーキが提供できない。やはり、「和牛でなければだめだ」ということです。
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ジャックス名物!
ニューヨークカットのサーロイン・ステーキ
こちらもまた、名物!
驚くほどジューシーなヒレ・ステーキ

サーロイン・ステーキ(300グラム)
鉄皿の上で音を立てているステーキの、このボリューム! さすが、ジャックス名物であるニューヨークカットのサーロイン・ステーキです。
厳選された和牛の、しかもそれほど量がとれない特大のサーロイン。それに、塩、コショウ、調味料を焼く直前に振って下味をつけ、火加減の難しい炭火で焼き上げていきます。
まず、肉の片面をじっくり焼き、旨みを閉じ込める。そして、肉を返してから客の好みの焼き加減に仕上げていく。長年の経験でのみわかる最高の瞬間に鉄皿へ。最後に、醤油とガーリック・バターを落として完成。シンプルな料理ですが、それだけにごまかしがききません。
ご主人の腕一本で仕上げられた究極のステーキ。ナイフを入れると、それまでギュッと詰まっていた肉汁が溢れ出てきます。
果たして、最低限の味付けで、肉本来の旨みを最大限に引き出したサーロイン・ステーキの味は?
申し訳ありませんが、「うまい!」という言葉しか出てきません。どんな形容詞をつけても、充分に伝え切れない美味しさです。

ヒレ・ステーキ(250グラム)
これもジャックスでしか味わえない名物。厚く切った特撰和牛のヒレ肉をベーコンで巻き、あとはサーロインと同様、炭火の上で焼き上げていきます。
絶妙な焼き加減に仕上がったヒレ・ステーキは、頬張るとヒレの柔らかな食感と深い味わいが口の中に広がっていきます。また、周りに巻かれたベーコンが、さらに美味しさを引き立てます。驚くほどジューシーで旨みが凝縮されており、ヒレ・ステーキに対するイメージが変ります。

注目の付けあわせ・ベイクドスタッフドポテト
肉の陰に隠れている、このベイクドスタッフドポテト。実は、これにもご主人のさりげないこだわりと工夫が込められています。
軽くゆでたジャガイモを、皮を残すようにくりぬいてマッシュポテトにした後、また皮の中に戻して炭火で焼く――そんな手の込んだ逸品です。外側は香ばしくパリパリで、中はしっとりと滑らかな舌ざわり。ぜひ、皮の部分と一緒に召し上がってください。

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ガーリック・トースト
炭火でほどよく焼かれたトースト。そして、それには香り豊かなガーリック・バターが溶け込んでいます。このガーリック・バターは、もちろんご主人の手づくりということです。
なお、今回はご主人お奨めのガーリック・トーストをいただきましたが、ご飯党の方にはライスも用意されています。

イタリアン・アイスクリーム&コーヒー
ボリューム満点のステーキを存分に楽しんだあとは、デザートでクール・ダウン。ドライフルーツが散りばめられた、彩り豊かなイタリアン・アイスクリームは冷たくて口の中がさっぱりし、ほどよい甘味です。
そして、香り豊かな暖かいコーヒー。そのカップは、持つ人が熱くないようにと、周りが二重構造になっています。
締めくくりまで細かい心遣いのあるもてなしを受け、感激しながら食事を終えることができました。
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本日のメニュー・番外編
photoハンバーグ
今回はご主人のご好意で、さらにもう一つのジャックス名物であるハンバーグも試食させていただきました。
ご主人特製のハンバーグは、卵やパン粉といったつなぎを最低限に抑え、肉の旨みが前面に出るように工夫された逸品です。そのため、このハンバーグの熱烈なファンも多いということです。
絶妙な焼き加減で肉の旨みが閉じ込められたハンバーグは弾力があり、デミグラソースと絡めると、まさに至福の味。豊かで深い味わいは、虜になるファンが多いということを納得させます。
なお、今回いただいたハンバーグは、ご主人が試食用に作ってくださったもののため、正規のものよりも小ぶりです。また、通常の7000円コースには、ハンバーグは含まれていません。
石原兄弟のエピソード
ジャックスは多くの著名人たちにも愛されてきたお店ですが、中でも石原慎太郎東京都知事・裕次郎兄弟が常連であったことは有名です。店内には、慎太郎さん・裕次郎さん兄弟が来店したときの写真(1960年頃のもの)が今でも飾られています。
ジャックスが中華街にあった1960年代、当時は客のほとんどが外国人であったそうです。しかし、そんな頃からよく立ち寄ってくれた人が石原慎太郎さんであったということです。
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photo彼は真っ赤なスポーツカーで店に乗り付け、300グラムのニューヨークカット・ステーキを好んでオーダーしていました。そして、大スターであった弟の裕次郎さんをよく連れてきたそうです。
やがて、裕次郎さんもお店に通うようになりますが、「よく若い女性を連れたりして来てくださいました。非常に細かい気配りをする方でしたね」と、ご主人は思い出を語ってくれました。
彼らがこよなく愛したステーキは、いまも当時のままの味とスタイルで、そしてもちろんご主人の手によって焼き続けられています。


石原兄弟も遊んでいた古き良き時代の横浜に思いを馳せながら、今回も非常に楽しいひとときを過ごさせていただきました。
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