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◆今回の取材で最も私の印象に残ったことは、マネージャーとしてベストを目指す幅さんのひたむきな姿勢です。プロとしての卓越した技術を持ち、客のさまざまな要望に対して臨機応変に対応できるスタッフを育てる。その一方で、オーナーの意を汲み、彼のセンスを活かしながら店づくりの完成度を高めていく。バーのマネージャーはかくあるべきというものを幅さんに見せていただき、深く感動しました。
また、イギリスのゴルフ場のクラブハウスをモチーフにしたという内装や店内の調度品も目を惹きます。おしゃれで豪華ですが、決して派手ではなく、非常に落ち着いた雰囲気を醸し出しており、美味しいお酒と食べ物を楽しみながらゆったりとくつろぐことができます。
最近は、価格の安いチェーンの居酒屋などが増えました。それは、私のような学生にとっては経済的な面でありがたいことです。しかし、多少は値段が高くても、幅さんたちの仕事や落ち着いた雰囲気の店内で静かに談笑する人びとを見ると、少し無理をしてでもまた来たいとつくづく思います。幅さんはインタビューの中で、「ちゃんとした店を知らないと、本当のお酒の飲み方がわからない」と言われました。確かに、ピルグリムに来て、少し大人になれたような気がします。
(横濱まちづくり倶楽部会員・田代 瞬)
◆非常に気さくで柔和な印象の幅さんですが、一流ホテルのバーでの経験が長いというだけあって、仕事をされているときの姿は気品に満ちています。また、実際にお話を伺うと、バーテンダーという仕事に対する崇高な姿勢と情熱に圧倒されます。
特に、来店した客が十分に満足できるように、日々おもてなしについて研究を重ねているという話や、カクテルを作るときの細部にわたる心遣いについての話に、私は深く感銘を受けました。それとともに、バーテンダーの仕事の奥深さも痛感しました。
幅さんの理想は、「カウンターで全然知らない同士が隣りあい、やがてはバーテンダーも挟んでみんなが飲み友達になっていく」ことであるといいます。そして、それは今、徐々にできつつあるそうです。きっと、幅さんやスタッフの皆さんの努力が実って、客とバーテンダーの間に、さらにはピルグリムで出会った客同士の間に信頼関係ができるようになってきたからなのでしょう。
客から信頼されること、そして、そこへ来れば誰もが打ち解けられるような店になることは大変むずかしいし、時間のかかることです。しかし、ピルグリムは幅さんの理想に導かれ、そうした店へと確実に近づいています。私も、そんなピルグリムの和の中へ迎え入れてもらえるような大人になりたいと思いました。
(同・山田雅浩)
◆ピルグリムは重厚で落ち着いた雰囲気に包まれており、くつろいだ客たちの和やかな話し声が絶えないお店です。そして、店での楽しいひとときを、この上なく優雅に演出してくれるのが、鮮やかな色あいで優しい味のカクテル。カウンターに並べられていないものも含めると、約300種類のお酒がいつもストックされているそうですが、それらを駆使して作られるカクテルは3000種類におよぶと伺い、非常に驚きました。
さらに、同じ種類のカクテルでも、実は一人ひとりの客の好みやその場の状況にあわせて、お酒の量や味わいが微妙に変えてあるとのこと。つまり、ピルグリムで飲む一杯のカクテルは、どれもがそのとき、その場限りのオンリー・ワンの作品なのです。
「毎日が創作の連続です」と幅さんは言われました。だから、創作意欲が掻き立てられ、楽しい仕事であるそうです。そんな話を伺い、カクテルの奥深い世界に初めて気づかされるとともに、その世界を究めようとする幅さんの情熱とひたむきさに感動を覚えました。
それだけでもすごいことだと思いますが、「カクテルを作るだけならバーテンだ」と幅さんは言い切ります。客にあわせた会話ができ、彼らを楽しませて、「もう一杯」と言ってもらえるようになってこそ、“バーテンダー”であるとのこと。これは、かつて先輩バーテンダーから言われたことであるそうですが、それほど大変な道であるからこそ、40年近くもの間、幅さんの探究心をそぐことがなかったのでしょう。
(同・武智 大)
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