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「30数年間にわたって、たびたび中国に仕事で行き、大陸のいろいろな料理を知りました」という近澤さんが注目したのは、四川省や、毛沢東の出身地である湖南省の料理でした。「四川省や湖南省の料理はとてつもなく辛いものなので、さっぱりとしていて軽い味つけを好む上海人には受けないだろうと思っていました。ところが、いざこれらの地方の料理を出す店が上海にできたら、ものすごくはやったんです」。 オープンな性格で、全国各地のものをすぐに受け入れる土地柄であるという上海ではいま、中国料理店とも洋食店ともいえないようなモダンなインテリアで、食器などにもこだわり、様々な地方の料理がミックスしているようなメニューを出す店が人気であるそうです。 こうした現状が、近澤さんの興味をひきます。「横浜は、上海と非常に性格の似た街です。ですから、いま上海で流行しているような店を、こうした店がまだ1軒もない横浜の中華街に持ってきたらどうなるのか、と思うようになりました」。
実は、近澤さんには飲食店経営の経験やノウハウはなく、「辣」の出店はまったく新しい分野への挑戦でした。しかし、「ヨコハマ・スタイル」との親和性がある、上海の新しい中国料理店を実験してみたいという気持ちに突き動かされたということです。
また、「麻婆豆腐専門店」としたのは、レシピが完成すればチェーン展開が容易であることや、オリジナリティのある味をきちんと確立してスタイリッシュに提供すれば、中国料理の新しいマーケットを拓ける可能性があることに着眼したからだそうです。仕事上よく中国に行かれる近澤さんは、ここ10年の中国の急速な変化を楽しみながらも、一方では経営者としてクールに観察してきました。 |