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横浜・食の極人 vol.07 横浜の味を創る究極の達人たち
ふらんす懐石「修廣樹」
それぞれのお店には、そのお店の味を生み出す究極の達人がいます。このコーナーでは、そうした人びとに直撃インタビューをして、その素顔に迫っていきたいと思います。
7回目の今回は、ふらんす懐石「修廣樹」のシェフ、春成豊さんです。
食の極人・プロファイル7 「修廣樹」シェフ 春成 豊さん
春成 豊さん春成さんは1964年に東京都で生まれ、埼玉県で育ちました。1983年からホリデーイン横浜で3年、その後、ホテルパシフィック東京で3年修行を積み、青山の「ヴーヴ・クリコ」のオープン・シェフに抜擢されます。
そして、ヴーヴ・クリコのシェフを1年務めてから、90年に渡仏。パリの「レカミエ」、ロワールの「ベルナール・ロバン」、マルセイユの「プティ・ニース」、さらにはパリの菓子店などで腕を磨き、92年に帰国します。帰国後は、横浜元町「修廣樹」のオープンと同時にシェフに招かれ、現在も同店で多くの食通の舌を唸らせる料理を作り続けておられます。
採れたての素材が持つ奥深い味わいを存分に引き出した料理が春成さんの真骨頂であり、伝統的なフランス料理をベースにしながらも季節感を重視した独自の料理で、私たちを楽しませてくれます。
「僕がコックになろうと思ったのは小学校3年生ぐらいの時でしたかねぇ。そのまま、コックになってしまいました。」
小さい頃から自分で食事を作ることが当たり前だったと言う春成さん。彼が幼稚園の頃からお父様は海外に単身赴任、お母様も仕事を持っていたため、台所に立つ機会が多かったそうです。何よりも料理を作ることに興味があり、人に作ってあげて「美味しいね!」と言われることがとても嬉しかったといいます。
また、学校の授業では、美術や図工といった創作活動が好きだったということです。春成さんが作り出す料理の鮮やかな色使いや華やかな盛り付けは、彼が幼い頃から持ちあわせていた創造力や優れたセンスがベースになっているようです。
厨房の様子 「自然にフランス料理だったんですよね。」
春成さんは子供の頃、世界の食べ物を紹介する番組を見ていて欧米の食べ物に憧れ、何となくフランス料理を作りたいと思ったそうです。「何で和食じゃないのか?」とか「何で中華じゃないのか?」という自分への問いかけはまったくなく、自然にフランス料理の道に進んだということです。
「実は美術や図工が好きで、一時はデザイン関係の道に進もうかと思ったこともありましたが、結局は料理人の道を選びました」と、笑いながら話してくれました。
「若い頃は、辞めようと思ったことは全然ありませんでした。逆に、今のほうが日々苦労が多いかもしれませんね。」
「若いうちは“引き出し”が少ないから、言われたことをやって自分のものにしていったり、先輩に色々と教えてもらうことで、徐々に“引き出し”が増えていくのを実感できるんですよね」と、春成さんは言います。だから、若いうちはそれだけで満足できたそうです。しかし今は、自分で発想して、自分でかたちにしていかなければならないので、逆に苦労が多いということです。
シェフとして一ヶ月分のメニューづくりを任されてきた春成さんは、「若いうちは無謀なことをやっていたよ」と言います。その無謀なこととは、自分の“引き出し”が少なかったために拙速なメニューづくりをしていたということだそうです。現在は“引き出し”も多くなり、良し悪しのチョイスがしっかりと分かるようになりましたが、それにともなって、メニューづくりに半月はかかるようになったということです。
「野菜の色々な可能性を引き出していくということが、私のライフワークです。」
厨房の様子「ただ、さっと茹でて色んな野菜を盛り付けたサラダがあるだけでもいいんですけど、それだけじゃ面白くない」と、春成さんは言います。
埼玉で育ったという思いもあり、食材として、魚や肉よりも野菜が好きだという春成さん。野菜のシンプルな個性を引き出すだけでは満足せず、野菜の持つ色々な可能性をもっと掘り起こして、お客様に見せたい。そして、その大きな潜在力をより多くのお客様に楽しんでもらいたいということです。
野菜という食材にこだわりを持っている春成さんは、野菜が持つ無限の可能性を次々に引き出していくことを、自分のライフワークと考えているそうです。
春成 豊さん 「料理はバランスが大事です。」
「料理は全体のバランスが大事です。それを意識して使う食材を決めなければなりません」と語る春成さん。一皿、一皿のコンセプトを明確にして「こういう料理にしよう」と決めていく際には、その一皿の全体的なバランスを考えることが不可欠であるということです。それをしっかりと考えておかないと、ミス・マッチな食材を組み合わせてしまったり、不要な飾り付けがされた料理になってしまったりするそうです。
「飾り付けに使う食材1つにしても、たとえばデザートだからミントの葉を付けよう、という発想ではダメなんです。そのデザートには本当にミントがあっているのか、何が一番あう食材なのかを考え、全体のバランスに配慮して決めなければなりません」ということです。食材にこだわり、料理を大切にする春成さんだからこその言葉です。
店内の様子 「シンプルな料理なのに、口の中に入れたら感動が生まれるというものを作っていきたい!」
春成さんの今後の目標は、修廣樹のスタイルを確立させ、それが随所に一貫している店にしていき、「何を作ってもやっぱり修廣樹さんは違うなあ、と思ってもらえるようにしたい」ということだそうです。
「ナチュラルでオリジナリティーあふれる料理を、これからもこだわりを持って作っていき、誰にも真似できない修廣樹スタイルをつくりあげていくことを目指します」と、最後に力強く語ってくれました。

横浜の食案内「修廣樹」はこちら

横浜の食案内

インタビューを終えて
■今回、春成さんのお話を聞いてまず感銘を受けたことは、食材、とくに野菜に対する人一倍強いこだわりです。また、現状に決して満足せず、常に自分をレベルアップさせていくことを目指す真のプロフェッショナルの姿をも教わりました。春成さんがこれから目指していかれるという修廣樹スタイルの完成を、私も心から楽しみにしています。
(横濱まちづくり倶楽部会員・山内康資)

■修廣樹は、その洗練された店構えとは対照的に、店内はとてもアットホームな雰囲気です。そんな雰囲気は、店内の柔らかな照明や素敵な絵画、ウエイターの方々の心温まる接客ばかりでなく、シェフの春成さんの手による調和を大切にした料理によって創り出されていると思いました。春成さんの料理は繊細で、やさしい味と彩りであり、訪れた人びとの心を和ませてくれるものです。
(横浜商科大学学生・星野まどか)

■料理長である春成さんの手がけた料理は、一品一品にテーマがあり、料理全体のバランスや素材を大事にしていることが伝わってきます。優しく、温もりのある料理ですが、家庭では決してできない確立したプロッフェショナルの技が、さりげなく輝いています。特に、浮いている島をイメージしたという「イル・フロッタント」などは、食べる側の想像力をかき立て、修廣樹を訪れなければ出会うことができない最高の逸品でした。
(横浜商科大学学生・内藤美帆)
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