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横浜・食の極人 vol.03 横浜の味を創る究極の達人たち
元町・都ずし
それぞれのお店には、そのお店の味を生み出す究極の達人がいます。このコーナーでは、そうした人びとに直撃インタビューをして、その素顔に迫っていきたいと思います。
3回目の今回は、元町・都ずしの店主、永井二郎さんです。
食の極人・プロファイル3 元町・都ずし店主 永井二郎さん
元町・都ずし店主の永井二郎さんは、昭和19年1月に横浜市中区の伊勢佐木町で生まれ、金沢区の町屋で育ちました。高校を卒業すると、一度は会社勤めを始めたそうです。しかし、寿司屋の次男として育たれた永井さんは、自分にはやはり寿司屋が向いているという思いを深めてすぐに退社し、実家の店(都ずし本店)に入って修行を積みます。そして、45歳のときに独立し、ここ元町に「元町・都ずし」を開店したということです。
以来、「元町・都ずし」は横浜・元町を代表する寿司店の1つとなり、地元の人びとをはじめ、多くのファンに愛され続けています。

元町・都ずし店主 永井二郎さん
元町・都ずし店主 永井二郎さん 「いま店を持って経営者になっている人たちは、若い頃から嫌な思いも、死ぬような思いもしていると思いますよ。だから、何だって平気で乗り切れる。」
戦後の厳しい生活環境で幼少期を過ごしたという永井さん。寿司屋の修行時代には、睡眠時間が2〜3時間という生活が数年間も続いたそうです。「何だって乗り切れる」という言葉は、永井さんの経験や苦労に裏づけされた強い自信を感じさせます。むしろ、私たちには「何だって乗り切ってやる」というメッセージとして聞こえ、気迫を感じずにはいられませんでした。いくつもの苦労を乗り越えてこそ、よい仕事ができるようになるのだということをあらためて痛感しました。
「握りや巻き物を巻くことは、そんなに難しいことじゃないんですよ。」
幼い頃から寿司屋の仕事を見て育ったという永井さんは、見よう見まねで握りを始めると、字を書くように短期間でスラスラとできるようになったそうです。見て覚えることが、何よりも大事であると教えてくれました。むしろ、難しいのは仕込みであるということで、寿司を握ってお客さんと会話を交わすのは遊びのように楽しいものだそうです。しかし、握りが難しくないというのは、難しいことを難しいと言わない永井さんの粋なのではないでしょうか。
「自分で触ったものはすべて自分で握り、お客さんの口まで運ぶのが僕の仕事です。」
ネタの扱い方ひとつで味がまったく変わってしまう、と永井さんは言います。自分で仕入れた品物は自分ですべて管理し、お客さんに自信を持って提供したいという姿勢に、料理人魂、あるいは職人魂というものを感じました。この徹底ぶりこそが、多くの人びとに元町・都ずしが愛され続ける理由の一つではないかと思います。
「儲けようと思うのではなく、よい品物を出して、よいお客さんに来てもらって、自分が食っていければいいんです。」
「よい材料を使い、よい仕事をしていることをお客さんに見てもらい、信用してもらう」ことが大切であると、永井さんは強調していました。何よりも信頼を大切にし、過大な利益を追い求めないという姿勢は、まさしく商いの基本なのではないでしょうか。競争社会の中で、私たちが忘れかけてしまったことを思い出させてくださいました。
元町・都ずし店主 永井二郎さん
一番大事なのは精神力を養って、自分自身に自信を持たせること。
これまでに様々な辛い経験をしても、常に努力して前進してきた永井さん。1日に20時間働いたこともあったそうです。しかし、ボクシングやパワーリフティング、マラソンで鍛え抜き体力には自信があったからこそ、そんな辛い時期も乗り越えることができたということです。
みんな、もっと美味しいものを食べてほしい。
街にあふれる宣伝や、マス・メディアからの多くの情報に惑わされ、自分の味覚で美味しいものを探すことをしない現代人。他人からの情報だけを信じるのではなく、自分自身の舌で、自分にとって本当に美味しいものを探し出す喜びを感じてほしい――私たちは、永井さんからそんなメッセージをいただきました。



横浜の食案内「元町・都ずし」はこちら

横浜の食案内 「元町・都ずし」

インタビューを終えて
■元町・都ずしのような本格的なお寿司屋さんは初めての経験であった私には、非常に敷居が高い店に感じられ、かなり気を張った状態で取材にのぞみました。しかし、永井さんはとても明るく気さくな方で、時間がたつにつれて自然と肩の力が抜けていきました。和やかな雰囲気をつくり出してくれる永井さんの人柄と心配りも、元町・都ずしのご馳走の1つなのではないかと思います。
(横濱まちづくり倶楽部会員・阿部俊太郎)

■淡々と寿司を握る姿、無駄のない動き、そしてお客さんを和ませる会話。「職人仕事に完璧はない」とよく言いますが、私にはまさしく完成された動きに見えました。そんな永井さんの様々な経験や苦労話をうかがって、職人仕事の厳しさとともに、料理人としての信念を持つことの大切さを再認識させられました。
(同・平野順弘)

■永井さんへのインタビューは、非常に勉強になりました。とくに、(過大な利益の追求よりも)「信用されることが大切」と熱く語る永井さんには感銘を受けました。人との関わりあいを大切にする心、決して人を裏切らない心、そして、それをもってお客さんや取り引き先の人びとと信頼関係をつくっていく――そうした商いの基本を教えてもらいました。
(同・坂本紘一)
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